可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─


もごもごとイラつくを唇で噛みしめ、眉間に皺を寄せたエリアーナの酷い顔にベアトリスはにこりと笑いかけた。


「あら、エリアーナ様ったら、スカートの中が丸見えですわよ?わざと見せておられるなら下品ですわ。

その点、私は気品があって、可愛くてごめんあそばせ?」


ではごきげんようと人間貴族のきちんとした礼をして、ベアトリスはキッチンを回れ右した。


向かってくる奴は言葉で叩きのめす。一言多くて余計に敵を作る性質であるが、一人で強く生きてきたベアトリスの、おじい様直伝の処世術である。


おじい様は「強く生きて、幸せになれ」と願ったのだが、どうも強く生き過ぎて煽りがちなベアトリスであった。


「いちいちムカつく女やなぁ!」


立ち上がって地団太を踏むエリアーナを、キッチンの骸骨たちが「お下品お下品」とカラカラ笑った。


「笑うなやこの空っぽ体どもがぁ!」


癇癪を爆発させたエリアーナが手当たり次第に投げた皿が、キッチン内で働いていた骸骨コックの頭に当たって頭が床に落下した。


  
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