可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
「エリアーナ、優秀過ぎるくらいだ。50番でも驚かなかった」
「でも108までいかな意味ないやん!封印失敗すんで!先生できんの?!」
サイラスは賢者であれど、封印詠唱の専門家ではない。パチンパチンと指を鳴らし始めたサイラスはまた笑った。
「残念ながら、僕でも105が限界だ」
「うそやぁああ!どうすんねんこれぇえ!」
エリアーナもパンパンと手を叩き、会話を挟んで封印詠唱を継続する高等技術を披露する。
だが、封印完了までの算段が立っていないことが露呈した。
「でもこれ以上できることが僕たちにはない。ベアトリスの判断は最善だ。だから従った」
「だからどうすんの先生ぇ!」
カオスが、頭上で騒ぐエリアーナをぎょろっと金色の瞳で睨む。エリアーナはサイラスの大好きな悪人顔で、足の下のカオスに唾を吐きかけてやった。
「こっち見んなや、このアホトカゲが」
いずれ負け確でも、現在のヒャッハーは忘れない。ナイスな心意気だ。エリアーナの肝の太さに励まされるサイラスは、こんな時でもクスクス笑ってしまう。