可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
「うわぁああ!先生ってズルすぎん?!てかちょっと今から口が忙しいで!」
エリアーナがカオスの頭上で両足を踏ん張り、ピンク眼を血走らせて猛烈に詠唱を加速させる。サイラスも両手を振って魔術陣の文様を加速させた。
「アァン!コレきもっちえぇわあ!」
パチン!とエリアーナが大きく手を叩くと同時に、サイラスの魔術陣も円を完成させた。
「100番いったで!」
「ギュガァアアア!!」
魔術陣が七色の光を放ち、カオスを地の中に引きずり込む。初めてカオスの雄叫びが響いた。
だが、カオスが魔術陣に埋まったのは身体の半分、下半身のみだ。
「良い感じだね。続けよう。返事を聞かせて、エリアーナ?」
カオスの頭上から地面に飛び降りたエリアーナを見つめて、サイラスが小首を傾げる。エリアーナはうさ耳をぴくぴくさせて、叫んだ。
「うち!先生のことずっと前から大好きやったんやな!結婚する!」
「その言葉、ずっと待ってたよ」
今度はサイラスが手をパチンと叩いて封印詠唱101番を引き継いだ。
「これは絶対に、こんなところで死ねないね」
賢者の奮闘はここからだ。