可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
「ぷるぅ!」
「キエェエエエッ!」
ぷるんの体内のカオスが断末魔のごとく声を上げて、また大きな火の玉を口に溜め始めた。
ぷるんの甲高い声が響いて、ついに身体が真っ黒に変化した。もう三連射火球には耐えきれない。
「もうダメだわ!ぷるん様!加護をやめて私の元へ戻って!」
ぷるんの身体がベアトリスに反応して縮まる。ぷるんの体内から解放されたカオスが、上半身の自由を得てしまった。
カオスの口が巨大な光と熱を孕んでいる。
「ぷーーー」
縮こまり、真っ黒になったぷるんは自ら弾け飛んでベアトリスの元へ空から降ってきた。ベアトリスはぷるんを両手で受け止める。
カオスの口は無情にも開かれた。