可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
小瓶に入っていた涙を全部塗り込んだエリアーナの身体は、どんどん癒えていった。
焼け爛れ赤黒かった肌がピンク色にまで再生していく。再生する肌を見て、慌てたベアトリスがジンの顔を見上げた。
「ま、魔王様!マントをお貸し頂いても?」
エリアーナは半身が焼け焦げて、半身の服も焼き尽くされてしまっていた。焦げていた体が再生し始めると、形の良いお胸が露わになってしまう。ベアトリスがジンからマントを借りてエリアーナに被せる。
エリアーナのヒューヒューと途絶えそうだった息が安らかに戻ると、エリアーナの目蓋が動いた。
「エリアーナ、エリアーナ起きて」
「せんせぇ?」
「そうだよ。よく頑張った」
エリアーナの間抜けなアホ声にベアトリスもジンも心から安堵した。サイラスは寝転んだままのエリアーナの胸に顔を埋めて大ため息をつく。
「今すぐ結婚しよう」
「うん、ええよ。へへ、なんか先生に甘えられてるとか、おかしいなぁ」
へらっと締まりない顔をするエリアーナは、胸に顔を埋めたイラスの後頭部を左手で撫でて笑った。