可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
サイラスは可笑し過ぎてケラケラ腹を抱えて笑った。ひとしきり笑ったサイラスは生贄姫の涙についての研究成果を発表し始める。
「生贄姫は50年に一度やってくる条約だ。
涙の小瓶一本に50年若返る効果があるということだな」
ジンは自分の中でも予想が立っていたことが、サイラスの解説で腑に落ちていく。
「魔王は肉体年齢が100歳になるごとに、生贄姫の涙で『肉体を』50歳に戻す」
「それを繰り返して、寿命が延びていったってことだね。つまり私は今、肉体年齢が50歳か。元気なはずだ」
ジンは九死に一生を得たあの日を思い返す。
カオスに重症を負わされたジンは、ベアトリスの涙で辛くも生き延びた。
涙の効能に気づいたジンは、執務室に大事に保存し、サイラスと半分こした涙を一気飲みした。
そうして全盛期にまで身体が若返ったジンは、カオスに勝つことができたのだ。
「生贄姫の涙のおかげで体が全盛期か。
500歳越えて、今さら生殖適齢期。
盛って仕方ないわけだ」