可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
腹の上に跨った魔王様が、ベアトリスの顔を隠す両手を取ってベッドに優しく縫い留める。するとベアトリスの両目の端からぽろりと涙が落ちてしまった。
「突然こんなことをして、やはり怖がらせてしまったかな」
ジンが呟くと、ベアトリスはぶんぶん首を横に振った。
「嬉し過ぎて」
「え?」
「まさかこんなに早く受け入れてもらえるだなんて、嬉し過ぎて涙が出ます」
ベアトリスの潤んだ瞳が、まっすぐにジンの真っ赤な瞳を貫いた。
「私、こんなに幸せになっていいのでしょうか」
(ハイ!可愛い!!)
ジンは自身を紳士たるもの、としてたらしめていた理性が衝撃で吹っ飛んだのを感じた。気づいたら、ベアトリスの唇に噛みついていた。
「ン!」
ジンの滾る想いをぶつけた荒々しいキスをベアトリスは懸命に受け取った。ただ受け取るだけでも押し流されてしまいそうなほど激しかった。
でもそこに、愛が溢れんばかりにこもっていることがベアトリスの身体に直接伝わってきた。
ベアトリスは何度も繰り返される熱いキスに溺れて、嬉しくて涙がこぼれた。
「愛してる、私だけの生贄姫」
「私も愛していますわ。私だけの魔王様」
お互いの愛を見せつけ合うように、二人は強く抱き合った。