可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─

魔国民の得意な力づく物理攻撃を封じられているので、頭の弱い連中はベアトリスをイジめる方法が思いつかない状態だ。


『人間がこの国に居座るなんて絶対に許せないねぇ。死んで欲しいねぇ』


通りすがりにコソッと言い逃げする屈強なワニおじさんだけが、一番陰湿でしつこい。だが物理的には何もしかけて来なくて、一番知能を感じていた。


魔国民との小競り合いは続いている。

だが、小汚い牢獄小部屋ではあるが寝る場所があり、お腹の空かない体を手に入れ、ベアトリスはひとまず暮らしていけていた。


どこぞのチビデブハゲ糞エロ変態伯爵の手に貶められるより、アイニャと二人きりのずっと素晴らしい生活だ。


だが、一つだけ難点があった。


「お風呂がないのは辛いわ」


アイニャが狩りに出かけている間に、ベアトリスは魔王城を抜け出して水浴びに向かった。

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