可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
「魔王様なんて、もう少し頭を使いなさいの一言やで?!」
ぷんすこしているエリアーナに、サイラスはコップに入った真っ赤な生き血ジュースを差し出した。
「可愛いエリアーナにそんなこと言うなんて酷いな、ジンは」
「せやろ!先生の生き血ジュース大好き!飲んでもええ?」
「エリアーナのために作ったんだ。どうぞ」
「いただきまーす!」
エリアーナが目をキラキラさせて何が入っているのか謎のサイラス手作りジュースに口をつける。唇の周りが真っ赤に染まった。
サイラスはその唇を見て尾てい骨がゾクゾクする恋心を持っている。
エリアーナはジュースが空になるまで飲み干して、真っ赤な唇でしゅんとうさ耳を垂らした。
「うちな、魔王様に褒めてもらいたいねん。でもうちアホやから何もでけへん」
「エリアーナは賢い弟子だよ」
「ううー!先生だけやそう言うてくれんの!」
サイラスは小さな体を精一杯伸ばして、エリアーナのうさ耳を優しく撫でた。
エリアーナが魔王ジンに全く相手にされない憧れを抱いているのを、サイラスはずっと見ていた。
「うち、どうしたらええ?先生」