可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
サイラスの黄緑色の目が怪しく光ると、エリアーナの背筋がピッと伸びた。
(先生、悪いこと考えてるときはホンマ怖いわーでも頼りになるから大好き!)
子どもの顔した年増賢者は、悪いことを考えるのも得意である。
サイラスはエリアーナにおかわりの生き血ジュースを注ぎ、良いことを思いついた。
「ついでに加護の研究も進めるか。良い実験台だ」
「え?!先生なんか言うた?」
「ううん、気にしないで」
二杯目の生き血ジュースに夢中のエリアーナをサイラスは目で愛でる。
通常であれば、生贄姫はやってきてすぐに帰ってしまう。そのために初代魔王様の加護をが発動している時間は、今まで極めて短かった。
だがベアトリスが魔国に居座っているおかげで、今まで知らなかった加護の多くの効果が見つかっている。
解明されていない初代魔王様の加護についてもっと知りたいと、賢者サイラスの研究心が疼いたのだった。