可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
「あぁん!やっぱり封印たまらんわ!ァん!」
エリアーナは封印の壁をすり抜けて葬送会場の屋根の上に降り立っていた。
邪魔なベアトリスを封印できる快感に涎を垂らしてゾクゾクしながら封印呪文を詠唱し続ける。
(相手をイビってヒャッハー封印詠唱してるエリアーナは最高の最高を上行くね)
屋根の上で恍惚の詠唱を行うエリアーナを、サイラスは葬送会場の外でうっとり涎を垂らして穴が開くほど見つめていた。
エリアーナは典型的な頭の弱い魔族ではある。
だが、封印術の才能だけがあった。
サイラスがその才能を見出し育てあげたのだ。
情緒が幼く、さらにアホとくると封印術を操るのは難しい。だが、サイラスの師事によりその一点のみを磨き上げたエリアーナは封印に関してだけ言えば天才的だった。
(僕の可愛いエリアーナを見くびり過ぎだ、生贄姫)
サイラスは愛弟子の詠唱姿が尾てい骨にクるほど、ツボである。