可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
(初代魔王様の加護は常に生贄姫の半径3mに特化している。
だが、それ以上の大規模範囲を封印対象にしてしまえば封印が可能)
エリアーナはサイラスに言われるまま、広い葬送会場全体を封印対象としたのだ。広範囲の封印術を使えるものは極少数なので、初代魔王も考慮しなかったのだろう。
(普段半径3mの加護が、今は5mか?生贄姫の危機に呼応していると考えるべきか)
サイラスは目を閉じて、エリアーナがつくった封印内に透視魔術を使う。賢者サイラスはあらゆる魔術に通じている。
初代魔王様の加護を解明するために実験観察を続ける。生贄姫が叫びまくっているが、それはどうでもいい。
「なんやわからんけど、先生の言う通りやぁあ!アァン!気持ッちええッぁ!」
エリアーナが喉に両手をあてがって赤紫の夕闇の空を仰ぎ、封印の快感に酔い痴れている。
透視観察を終えたサイラスは、彼女の妖艶な姿を舌なめずりして見つめていた。封印詠唱中のうさ耳メイドの淫猥さといったらない。
(封印内に暗闇付与。加護があるから封印内で死ぬことはないだろうが。
生粋の闇に、生贄姫の精神崩壊はあっという間だな)
サイラスはエリアーナの艶やかな姿にゾクゾクする身体を抱きしめて、うっとり笑った。
(死ぬ前に、さすがに泣くか。楽しみだ)
封印を完了したエリアーナをサイラスは褒め称えた。すっかり調子に乗ったエリアーナの腰を抱いて、サイラスは可愛い弟子を魔王城へと連れ帰った。