可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─

ご意見番の賢者サイラス

サイラスの私室に、またうさ耳メイドのエリアーナが泣きつきに来ていた。


「先生!うち!うち、上手にできたのに!まさか魔王様が封印を解くなんて!なんでなん?!」


ビービー品なく赤ちゃんのように泣き叫ぶエリアーナの耳がしゅんと垂れているのを見ると、サイラスの尾てい骨がムズムズした。


「予想外だった。まさかジンが直々に出てくるとは。エリアーナの封印を片手で解くのはジンぐらいだ」


サイラスは子どもの身体でエリアーナの胸に抱きついて、ふよふよの胸に埋まりつつ短い腕でエリアーナの背を撫でた。


「そんなにあの女のことが気に入ったん?!人間やで?!信じられへん!」

「本当にジンの女の趣味は異常だよ。まさか生物になる前の細胞が好きなんて意味不明だ」

「先生は何言うてるかわからん時あるで?!」


小さいサイラスがナイスバディのエリアーナをなだめて抱きしめているはずだが、ぬいぐるみのように抱きしめられてしまう。



(これもまたヨシ!)



魅惑の胸圧にうっかり涎がエリアーナの胸元についてしまうのをサイラスは誤魔化した。


サイラスはエリアーナの背を小さな子どもの手で一定間隔でトントンと叩く。幼児は大概これで落ち着くのだ。エリアーナも例外ではない。


グズグズ鼻水を垂らすエリアーナの鼻を綺麗にふき取ったサイラスは、黄緑色の目を細めて笑った。


「エリアーナ、もう諦める?」

「嫌や!絶対、あの女泣かす!」


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