可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
深夜に魔王様周辺の書類仕事を終えたサイラスが伸びをして、魔王城内を散歩していた。ジンもびっくりの高齢者であるサイラスの趣味だ。
ジンの私室の近くを通ると、中から気配が漏れ出ていた。
あからさまに私室に一人ではないことが伝わってくる。
(珍しい。ジンが夜伽を呼ぶなんてこと今まであったか?)
500年も生きているくせにあまり性に頓着がないジンの夜伽相手にサイラスは興味を持った。
私室の前に立ち止まり、耳を澄ませる。すると、すぐに扉が開いてしまった。
「あ」
中から出てきた魔王様にサイラスは笑顔で見下ろされた。ジンにはバレていたというよりも、むしろ呼び寄せられたと考える方が自然だった。
「僕としたことが、やられたな」
「よく来たね。サイラス」
「美味しそうな罠につい誘われてしまった」
機嫌の良さそうなジンはサイラスを部屋に招き入れてクスクス笑った。
部屋の中で立ち尽くしたベアトリスには、二人のやり取りが一瞬過ぎて意味が伝わらなかった。
ジンの私室の近くを通ると、中から気配が漏れ出ていた。
あからさまに私室に一人ではないことが伝わってくる。
(珍しい。ジンが夜伽を呼ぶなんてこと今まであったか?)
500年も生きているくせにあまり性に頓着がないジンの夜伽相手にサイラスは興味を持った。
私室の前に立ち止まり、耳を澄ませる。すると、すぐに扉が開いてしまった。
「あ」
中から出てきた魔王様にサイラスは笑顔で見下ろされた。ジンにはバレていたというよりも、むしろ呼び寄せられたと考える方が自然だった。
「僕としたことが、やられたな」
「よく来たね。サイラス」
「美味しそうな罠につい誘われてしまった」
機嫌の良さそうなジンはサイラスを部屋に招き入れてクスクス笑った。
部屋の中で立ち尽くしたベアトリスには、二人のやり取りが一瞬過ぎて意味が伝わらなかった。