可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
サイラスの超個人的見解だが、10代の人間など生物になる前の細胞に等しい存在だ。
細胞に恋愛の気持ちを抱き始めたらしいジンを目の前にすると、ドン引き甚だしい。
サイラスは求められた時に適当な相槌を打ち、せっかくなのでエリアーナのために情報収集を開始した。
細胞と話すのは大変な苦であるが、可愛いエリアーナのためなら苦をも為そう。
「生贄姫は人間国に帰らないと言っていたな。理由は?」
「恥ずかしながら、お話するようなものではありませんわ。サイラス様のお耳を汚してしまいます」
「興味深いね。よければ聞かせてくれないかい?」
ジンの方が百倍は興味がある話題のようで、サイラスの追求を止めなかった。ベアトリスは目の前に置かれた生き血ジュースには口をつけずに品よく微笑んだ。