可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─

ニンマリ悪い顔で笑ったエリアーナのうさ耳がぴょこぴょこ悦び、ピンクのツインテールが軽やかに揺れる。


エリアーナの手でシャラッと音を立てたのは、ベアトリスのおじい様の形見である金のロッドだった。


「ニャ!」


アイニャは金のロッドが大事なものと理解している。エリアーナがチェーンを持って右へ左へと揺らすロッドにアイニャは飛びついた。


風呂で体を清めているベアトリスには、アイニャの奮闘が伝わらない。


「アイニャ、このエリアーナ様を止めるには役不足やね」


エリアーナはまたふよふよ浮かんでベアトリスの部屋をあっさり出て行く。アイニャは懸命にエリアーナのスカートにひっついて抵抗を試みた。


だが、全くエリアーナのふよふよ進行は止まらずに、魔王城内を進んでいった。


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