可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
独占命令の魔王様
うさ耳メイドのエリアーナは、ジン直々に執務室に呼び出しを受けてウキウキ参上した。
ついにエリアーナが奪った金のロッドによってベアトリスがギャン泣きした(だろう)件について褒めてもらえるはずだ。
「エリアーナ、今日呼び出したのは禁止命令を伝えるためだ」
執務椅子に大仰に座り足を組むジンの姿が美しい。ジンが麗しく黒い長髪を耳にかける仕草をエリアーナは恋に恋した瞳でうっとりしていたので、反応が遅れた。
「禁止命令?」
ジンの右側に立つサイラスも、エリアーナの恋するピンクの瞳にうっとりしている。子どもの顔した長寿族サイラスの恋は嫉妬するでもなく実に悠長だ。
「全魔族に対して、ベアトリスを泣かせる行為は禁止にする」
「は?何言うてんの、魔王様?」
サイラスの目からスッと光が消えて、エリアーナの顎は外れた。
魔王様の寿命を延ばす生贄姫の涙を、奪いにいかない魔族がいてたまるか。そう顔に書いてあるエリアーナにジンはにこりと一つ笑った。
「ベアトリスを泣かせていいのは、私だけだ」
ついにエリアーナが奪った金のロッドによってベアトリスがギャン泣きした(だろう)件について褒めてもらえるはずだ。
「エリアーナ、今日呼び出したのは禁止命令を伝えるためだ」
執務椅子に大仰に座り足を組むジンの姿が美しい。ジンが麗しく黒い長髪を耳にかける仕草をエリアーナは恋に恋した瞳でうっとりしていたので、反応が遅れた。
「禁止命令?」
ジンの右側に立つサイラスも、エリアーナの恋するピンクの瞳にうっとりしている。子どもの顔した長寿族サイラスの恋は嫉妬するでもなく実に悠長だ。
「全魔族に対して、ベアトリスを泣かせる行為は禁止にする」
「は?何言うてんの、魔王様?」
サイラスの目からスッと光が消えて、エリアーナの顎は外れた。
魔王様の寿命を延ばす生贄姫の涙を、奪いにいかない魔族がいてたまるか。そう顔に書いてあるエリアーナにジンはにこりと一つ笑った。
「ベアトリスを泣かせていいのは、私だけだ」