可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
「せやで、褒めてくれてええんやで魔王様」
「状況を説明して」
美貌の魔王様がひんやり睨むと、エリアーナはきょとんとする。
「あの人間の部屋入って、盗っただけやで?」
「使い魔はそれを見ていたのかい?」
「見てたよ?」
「そうか」
ジンは執務椅子に深く背中を預けて、納得いった顔を向ける。
「おそらくそのロッドを探しに出たんだろうな。使い魔は死んだ」
「え?ウソ……アイニャが?」
「ベアトリスはとても取り乱してね。ひどく可愛……可哀想だったよ」