可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─
ジンが立ち上がり、ベアトリスに手を差し伸べる。
「まさしく、いばらの道だ。
だが、どんなに酷い目にあおうが、どんなに血を浴びようが。
それでも私の隣は、君の場所だ」
優しい顔をしたジンの言うことは強烈だ。
「もう私が、そう決めてしまったからね」
「強引で傲慢で、一方的なお話ですわ」
美貌と高貴である御身の気高さを振りかざす魔王の笑みは、破滅をもたらす美しさだった。
「魔王だからね」
ベアトリスももうすっかり、この優しくも支配的な魔王様の虜だ。
どんなに喚いても離婚はしない、逃さないと前置きしたうえで、魔国の王妃など悲惨だと語り、批判に刺されて血まみれになっても隣にいなさいという。
やんわりとどこにも拒否権がない。
「しかも私の愛を裏切るようなことがあれば、この魔王が何をするかわからないオマケ付きだ」