可愛くて、ごめんあそばせ?─離婚予定の生贄姫は冷酷魔王様から溺愛を勝ち取ってしまいましたわ!─


「魔王様の寿命って、生贄姫の涙がなければどれくらいですの?」


次々疑問を繰り出すベアトリスに、サイラスに淡々と答えていく。


「100年ほどだ。


魔王族はその強力な性質ゆえに、魔族の中でも極端に命が短い」


ジンは現在500歳越えだと聞いている。ベアトリスはあの美しい旦那様がすっかりご老体だと知って目をくりんと丸くした。


魔族は本当に見た目と年齢がわからない。


「ちなみに、サイラス様のお年をお聞きしても?」


サイラスは小さな体には大きすぎる執務椅子に座って、目頭を押さえて天井を見た。


「細かくは忘れたが、1500くらいか」

「お、お元気そうで何よりですわ」


長寿族と呼ばれ、魔族の中でもとびきり長寿だというサイラスは見た目が子どもなのでベアトリスの頭は混乱を極める。



サイラスは身体が子どものまま成長せず腕力も人間の子ども程度しかない。だが、賢者の頭脳とあらゆる魔術を操る。



エリアーナはアホの極みで脳みそが小さく、魔族理性型なら誰でも使える基本的な魔術が使えない。だが、封印術にだけは長けている。



何かと引き換えに何かを得ているのが魔族の特徴だ。

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