不埒な上司と一夜で恋は生まれません
ある意味、初めての夜
 

 図書館の前に住んでいる人は本好きの人に違いない。

 子どものころからそう思っていた。

 今、住んでいる家の近くの図書館前にも、新しい白い家が建っていて。

 きっと、ここに住んでいる人も本好きなんだろうな、と思っていた。

 私の頭の中では、その白い家には感じのいい老夫婦が住んでいて。

 あの中世の城の扉みたいな小洒落た木の扉を開け、本を入れるための白い頑丈そうな布袋を手に家から出てくるおじいさん。

 家の前を掃いているおばあさん。

 こんにちは、とにこやかに挨拶する私。

 そんな素敵な妄想を描いていたあの家で、こんな惨劇が起きるとはーーっ!


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