不埒な上司と一夜で恋は生まれません
「あ、課長っ。
 お疲れ様ですっ」

 サボって呑み会の段取りをしていてたのがバレると思ったのか、辻井は挨拶だけして、飛ぶようにいなくなった。

「どうかしたのか?」
と逃げる辻井の背を見ながら耀が訊く。

「いえ、なんか呑み会をやってくれるらしいです」

「呑み会?」

「うちの隣の羽積さんとの呑み会です」

「例の隣のイケメンか」
とすぐに言ってくるので、記憶力いいな、と和香は思う。

 たいして羽積さんの話なんてしてないのに。

「なんでお前んちの隣のイケメンとの呑み会を辻井が仕切る」
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