不埒な上司と一夜で恋は生まれません
「それが羽積さん、うちの会社に営業で来てるみたいで」

「うちに出入りしてるの、お前、知らなかったのか」

 はあ、と和香は小首をかしげて言う。

「ガードマンか、土木工事の人か、バンドマンのはずだったんですけどね」

「なに?
 経歴を偽っていたのか」

 怪しい奴だ、と言い出しそうな耀に言う。

「三階の奥さんの妄想の中では……」

「……隣なんだろ。
 本人に確認しろよ」

「まあ、どのみち、どれも本業ではないですよ」
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