不埒な上司と一夜で恋は生まれません
「そうなのか?」

「あの人、私を監視してる人なので」

「……そうなのか?」

「今のアパートの斜め前のアパートに住んでるとき、羽積さんに監視されてるのに気がついたんですよね。

 だから、隣に引っ越してやりました」

 たまたま空いてたんで、と和香は言った。

「……何故、自ら隣に引っ越す。

 以前、お前につきまとっているおかしな男がいるのかと訊いたら、笑ってごまかされたが。

 あれは、その羽積という奴のことだったのか?」

「羽積さんは、おかしな男じゃありませんよ。
 私につきまとっているわけでもありません。

 お仕事で私を見張ってるだけです。
 っていうか、なんか、別の仕事のついでに見張ってる感じみたいですね」
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