不埒な上司と一夜で恋は生まれません
 


 夜、アパートに送ってもらうと、ちょうどドアに鍵をかけている羽積と出くわした。

「お疲れ」
と素っ気なく言ってくる彼の髑髏のキーホルダーを見、自分の赤いリンゴのキーホルダーを見た。

「キーホルダーって、個性が出ますよね」
と和香が呟くと、耀が、

「俺は指紋認証だから、キーホルダーないぞ」
と言う。

「無個性ってことですかね」
と言って、睨まれる。

 横で聞いている羽積がちょっと笑っていた。


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