不埒な上司と一夜で恋は生まれません
「私は庶民ですよ。
お金持ちなのは耀の父の方」
久しぶりに母の元を訪ねると、相変わらず、何処の女王様ですか、という口調で母が言う。
ええっ!?
と驚く和香に、母が命じる。
「和香さん、あなたのいい写真はないかしら?
今度、久しぶりに姑に会うのよ。
女帝みたいな人で恐ろしいんだけど」
と女帝のような母が言うので、和香が、!? という顔をする。
「あなたの話をしておきたいの。
別に顔をさらしても、問題はないんでしょう?」
「あの……」
と戸惑いながら言う和香に、母は、
「私にわからないことなんてないのよ」
と言った。
「和香さん、あなたが復讐を遂げたいと言うなら、我が家には様々な武器があります」
どんな武器!?
と和香と二人、身を乗り出す。