不埒な上司と一夜で恋は生まれません
 


「私は庶民ですよ。
 お金持ちなのは耀の父の方」

 久しぶりに母の元を訪ねると、相変わらず、何処の女王様ですか、という口調で母が言う。

 ええっ!?
と驚く和香に、母が命じる。

「和香さん、あなたのいい写真はないかしら?
 今度、久しぶりに姑に会うのよ。

 女帝みたいな人で恐ろしいんだけど」
と女帝のような母が言うので、和香が、!? という顔をする。

「あなたの話をしておきたいの。
 別に顔をさらしても、問題はないんでしょう?」

「あの……」
と戸惑いながら言う和香に、母は、

「私にわからないことなんてないのよ」
と言った。

「和香さん、あなたが復讐を遂げたいと言うなら、我が家には様々な武器があります」

 どんな武器!?
と和香と二人、身を乗り出す。
< 363 / 438 >

この作品をシェア

pagetop