不埒な上司と一夜で恋は生まれません
和香は新しくできたばかりの和風の居酒屋でみんなと呑んでいた。
耀は酔ってない顔をして酔っている厄介な人で。
呑み会の席で、真顔で仕事の注意点とか話してくるので面倒臭く。
みんな、
「神森課長の美しい顔だけ眺めていたい」
と言って、耀から距離をとったので、和香が隣の席になったのだった。
いや……私もそこまで苦手じゃない、というだけで、苦手なんだが、と思いながらも、和香は仕方なく、耀に語られつづける餌食となった。
どうせ、そんな美しい顔で見つめてくるのなら、愛でも語ってください。
いや、語られても困るけど、と思いながらも。