不埒な上司と一夜で恋は生まれません
「また遊びに寄ってね~」

 ありがとうございます、と和香は頭を下げる。

「和香ちゃん、この近くに住んでるの?
 結婚したの?」

「近くに住んではいるんですけど。
 結婚は……まだです」
と照れたように和香が言ったとき、富美加が言った。

「そう。
 近いのなら、和香ちゃんには、また会えそうね。

 羽積さんは、三つ向こうの市に住んでるみたいなんで、なかなか会えなさそうだけど」

 ――!?

「たまたま電車で見かけたのよね」
と富美加は軽く言うが、和香たちは衝撃を受けていた。

 耀が公安の人間の痕跡、追えないんじゃなかったのかっ、という顔をして和香を見る。
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