不埒な上司と一夜で恋は生まれません
家に帰った和香がリビングに持ってきたスーツケースの中をゴソゴソやっていると、耀が嫌そうに言ってきた。
「まだ自分の荷物をそれに詰めてるのか。
またいつか出て行ってしまいそうだからやめろ」
「はあ。
単に移動に便利だから詰めたままにしてるだけなんですけどね。
洋服なんかはクローゼットにかけてますし。
これは単に、ちょっとした日用品なんかを入れてるだけで。
いや~、荷物、引っ越すたびに減らしてってはいるんですけどね」
なかなか減らないですよね、と和香は笑いながら、スーツケースの中の物を出していた。
その手元を耀が覗いている。