どんな恋でも繋いでみせます!
「……ん?」



起き上がって、やっと気づいた。

自分の目元が濡れていることに。


朦朧とする意識の中で、目を閉じて千崎くんと紗良のことだけを考えている間、生身の私はなぜか静かに泣いていたのだ。

私の涙を千崎くんが自ら拭ってくれていたことをやっと理解する。



「大丈夫か?」



私の顔を更に覗き込み、変わらず優しい口調で聞いてくる千崎くん。

私は慌てて目元を乱暴に拭った。



「違うの、あれだから……その、さっきまですごい欠伸してて、それで涙が出ただけだから」



両手が高速で左右を行き来しながら、なんでもないのだと強く否定する。

無意識で泣いていたことに自分が1番驚いていて動揺していたが、あははっと高笑いで吹き飛ばそうとする。
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