どんな恋でも繋いでみせます！
「千崎くんは、まだ紗良が気になる段階だって言ったでしょ？これはまだ好きではないって」



頷きが返ってくる。



「紗良のこと、もう好きだと思うんだよね」

「……え」

「気になってるとか、仲良くなりたいとか、私に恋のキューピットになって欲しいって頼むあたり、私からすれば紗良のことを想っている以外の何物でもないよ」



運動したあとみたいに息が上がっている。

恋は、運動した時と同じくらい疲れるのかもしれない。



「それは、好きってことなんだよ。好きって認めないで紗良の周りウロチョロしたら、それこそずるい男だよ」



まだ気づかないままでいるなら、それはそれで私には都合がよかった。

そんな自分が何よりもずるくて、卑怯だった。

千崎くんが誰に対しても真摯で思いやりを持っているんだから、私もまっさらでいないといけない。


千崎くんは私の言葉を呑みこむように目を伏せ、ゆっくりとまた私を見た。

綺麗な上向きに伸びた睫毛が上下に動くのを見ながら、鉛のような物を飲み込んだみたいに内臓からどっしりと重みを感じていた。



「これが……恋、」



千崎くんは、雨粒が地面に落ちた音みたいにポツリと呟いた。

ふと、私が開けた窓から外を見ると、曇っていた空が泣き始めていた。

ポツリ、ポツリ、と隠れるように泣いていた。





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