どんな恋でも繋いでみせます!
「倫太郎!泣き真似するくらいなら手と頭を動かしなさい!」
いつの間にか紗良が、下の名前で倫太郎と呼んでいることに気づいたのはつい最近だ。
確かに倫太郎くんは、苗字の"加瀬"よりかは"倫太郎"って呼ばれている方がしっくりくる。
だけど、千崎くんのことは"千崎"呼びのまま変わってはいない。
紗良曰く、「自分よりも明らかにスペック高い人を下の名前で呼ぶのって抵抗あるじゃん?」らしい。
私からして見れば、千崎くんと紗良は同じくらいスペックが高いので、何言ってるんだか、と鼻で笑うしかなかった。
「リンリン、助けてぇ」
2人に囲まれ、逃げ場を無くした倫太郎くんが私に手を伸ばしてくる。
ニコリと微笑んでから、近くにあった本を手にして見なかったことにすれば、「うわぁーん」と幼い子が泣く時みたいな声で倫太郎くんはまた泣き真似をして、千崎くんに叩かれていた。
気の毒だが、倫太郎くんの再テストを突破させるほどの頭脳を持ってはいないので、申し訳ないけど2人に任せるのが一番正解な選択なの、許して。