どんな恋でも繋いでみせます!
「千崎くんっ、あのね」
私の小さな声を聞くためか、千崎くんのガチャガチャとドアノブを回す音が止む。
「───恋のキューピット、終わりにしたいの」
そう勢いよく口にした。
どっちも扉を壊す勢いで音を立て、さっきまでが騒がしかったせいか、やけに静けさを感じた。
こんなにこの場所は静かだったっけ、と不安になる。
まるで真夜中の森の中に迷い込んだような静けさだった。
これだけではあまりにも言葉足らずだから、更に1番重要なことを付け足した。
「紗良、千崎くんのこと気になってる」
扉の向こうからは返事はない。息遣いも聞こえない。
「もう私が何かしなくても、千崎くんが勇気を出して気持ちを伝えたらきっと上手くいく」
ドアノブを握っていた手が、小刻みに震えている。
伝染して声まで震えそうになるのを必死で耐えて、いつも通りの声質で伝える。