どんな恋でも繋いでみせます!
「凛!」



紗良の怒鳴りつけるような、咎めるような声に、肩が怯えたように跳ねる。



「逃げるな」

「……え、」



……違う。

私は逃げようとしているわけじゃなくて、聞きたくなくて、真実を知るのが怖いだけで、決して逃げてるわけじゃ……。



「逃げるのは、ずるいよ」



ずるいのは、私が恋のキューピットとして人気者である千崎くんの隣にいて、2人が両思いだと知っておきながらわざと長引かせようとしたことだ。

本来ならただのクラスメイトの立ち位置だったのに、千崎くんの恋心を利用して側にいたことだ。

恋のキューピットを終わらせても、友達でいたいと言ったことだ。


確かに私はずるかったけど、逃げることにずるいだなんて指摘されたら、私は苦しくて壊れてしまう。

最初から、千崎くんの世界に入れてもらえた紗良にそんなこと言われたくない。


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