どんな恋でも繋いでみせます!
「ずるいのは、紗良のほうでしょ」

「え?」

「どう転んでも幸せになれるんだから」



私だって、幸せになりたい。

私だって、好きな人に好きになってもらいたい。



「私だってっ……私だけを見てほしいって思うよ」



───私だけを見て。


お前のせいだ、あなたが悪い、と相手を罵るばかりの両親には、あの時の幼い私は見えていなかった。

もう誰も、私なんかのこと見てくれないと思っていた。


だけど、あの時、千崎くんは私のことも見てくれた。

手洗い場で、私を庇い体操服と髪を濡らされても、それでも私に笑いかけてくれた。

みんなが「なに?ケンカ?」と、好奇の目を向けながら通り過ぎていく中で、千崎くんだけが声をかけてくれた。

学校の人気者で、有名人で、華があって、私とは全く別世界にいるような人なのに……。

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