どんな恋でも繋いでみせます!
第二章 恋のお楽しみ会
あの日は、まだ高校に入学して1ヶ月半しか経っていない、5月半ばの頃だった。
5月下旬に行われる体育祭に向けて、毎日2時間程の練習時間が設けられていた。
全体練習、団体練習、クラス練習がローテーションで回っていて、その日はクラス練習の時間だった。
「ねぇ、柏木さんめっちゃ足遅くない?」
「いやそれな、うちらのクラスの足引っ張ってんの完全柏木さんだよね」
「美人だからって手抜いて走ってるんじゃない?」
「えぇ〜それなら最悪。当日休んでくんないかな」
汚れた手を洗うため外に設置された手洗い場に向かうと、まだ仲良くなれずどこかよそよそしいクラスメイトが、紗良の陰口を叩いているのを偶然にも聞いてしまった。
確かに紗良は美人だし、勉強もできるけど、唯一の欠点が運動神経が抜群に悪いとこだった。
そしてクラス対抗リレーの練習では、足が遅い紗良は毎回1、2人に抜かれていた。
でもそれは仕方がないことだと思う。
足が遅いことも、運動神経が悪いことも、努力すればすぐに改善できるほど簡単な話ではないからだ。