どんな恋でも繋いでみせます!
その時、廊下側の開けっ放しにされた窓から強い風が吹いた。

わっ、と驚いて足を止めたと同時だった。



「───填本」



生徒が行き交う騒がしい廊下で、やけにその声はどの雑音にも誰の声にも邪魔されず、一直線に最短ルートで私の耳に届く。

振り返らずとも誰の声なのかわかってしまうから、悔しい。

それでも振り返らないといけないから、風で乱れてしまった髪の毛を手櫛で整えながら振り返った。



「千崎くん、どうかした?」



その質問は、理由もわからず避けられている千崎くんの台詞だけど、自分の台詞のように言葉を放った。

また、キリキリとお腹の内側を刺すような痛みが走る。



「俺、填本に何かした?」



案の定、困惑交じりの声でそう問い返された。

もちろん何もしてないし、100パーセント私が悪い。

< 204 / 328 >

この作品をシェア

pagetop