どんな恋でも繋いでみせます!
「避けられてる気がするんだけど、俺の気のせいじゃないよな?」
「……えぇ、気のせいじゃない、かな」
そう言ってヘラヘラ笑いながら、右足を後ろへ引くと、キュッと廊下と足の裏が擦れる音がする。
その瞬間、千崎くんの腕が伸びてくる。
逃げられると思ったのか、私の腕を掴もうとするから、今度は大きく身体ごと後ろへ引いた。
傍から見れば、私が千崎くんを拒絶してるように見える。
だけど、私からすれば、千崎くんが私の善意を拒絶してるように見えた。
だって、これ以上私が好きになったら千崎くんはきっと迷惑でしょ?
もちろん私のためでもあるけど、千崎くんのためにも私は千崎くんから距離を取ったんだ。これは私の善意だ。
だから、大人しく紗良と結ばれてよ。お願いだから。
「私もう体育館行かないと」
「ちょ、待って、填本っ」
「千崎くんも練習頑張って。今年は優勝できるといいね」
なんとか笑って応援の言葉を送ったが、千崎くんの目は見れなかった。
引き留める時間も与えずに踵を返し、廊下をまた歩き出す。