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勘違いの恋
千崎瑠衣が、彼女を知ったのは1年の5月頃だった。
体育祭の練習中、外に設置された手洗い場で何やら揉めている女子を見てしまった。
よく見れば、4対1。その絶対的少数の1が彼女だった。
話を聞いている限り、どうやら手洗い場を独占している4人が、彼女の友達の陰口を叩いていたことに対して怒っているようだった。
"美人だから"
その言葉が彼女の感に触れたようで、1人堂々と注意して立ち向かっていた。
「───心でも綺麗に磨いたら?」
彼女の挑発的な言葉に思わず笑ってしまった。
容姿がいいから目についてしまうことは、陰口を叩かれる対象にはならない。
間違っているのはお前らだ、と言うような潔さにどこか心が救われた。