どんな恋でも繋いでみせます!

「4対1なのに水ぶっかけようとするとか、それもう負け犬がすることだぜ?」



耳に心地よい彼の低音ボイスで、だんだんと心が落ち着きを取り戻し冷静になる。

それはさっきまで張り合ってた彼女たちも然りだった。



「高校入って初めての大イベントなんだからもっと仲良くしなよ。そんなんじゃ、楽しくないだろ?」



この場を収めようとする優しい口調と声色に耳を澄まして聞いていると、背中を向けていた彼がゆっくりと振り返り私を見る。

無意識に背筋を伸ばして、構える体勢をとる。



「あんたも。怒るのは無理ないけど、ちょっと落ち着きなよ。怒りに身を任せてもろくな事ないぞ」



私のせいで濡れてしまった彼の髪から、ポタポタと水が垂れている。

濡れているのに、濡らしてしまったのに、私は彼の綺麗な容姿にどうしようもなく目を奪われてしまった。


ほんのり口角を上げ微笑んでいる彼は、私が知る以上最も端麗な容姿をしていた。


彼は首に巻いていたタオルで雑に髪の毛を拭きながら、「もうケンカすんなよ〜」と間延びした口調でスタスタと歩いて去っていく。

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