どんな恋でも繋いでみせます!
もう意識すらも保てない状態で、最後の力を振り絞り顔を上げて目を凝らした。

やっぱり霞む視界の中でははっきりと顔が見えなかった。

でも、体操服の左胸に刺繍された赤い文字はなんとか見えた。


【柏木】


あぁ、あの子だ。あの綺麗な子だ。そう思った。


目が覚めると、さっきの女子がどういう声でどういう髪型をしていて……記憶を振り返ってみたが、何一つ憶えていなかった。

ただ、体操服の左胸の名前だけは忘れてなかった。

その日から、俺は柏木紗良という子がどういう子なのか気になり出した。



そう、この日から始まったんだ。俺の勘違いが。


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