どんな恋でも繋いでみせます!
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あれから、約1年は経った。
2年生に上がり、隣のクラスだった千崎くんとは運命のイタズラのように同じクラスになった。
嬉しいような、やめて欲しいような、そんなどっちつかずの矛盾した感情を抱いたのは、貼られたクラス替えの紙を見た時だ。
そこからは特に接点もなく、私からしつこく千崎くんに話しかけたりもしないので、"ただの同級生"から"ただのクラスメイト"に立場上変わるだけで、大きくその関係性が進展することはなかった。
これからも変わることはないと思っていた。
だけど人生は何が起こるかわからないものだ。
まさか、私が恋のキューピットとして千崎くんの恋の手助けをすることになるなんて、そんなこと誰が予想できただろうか。
そして、その相手が私の親友兼幼馴染の紗良だなんて、誰も予想できるはずがない。むしろ予想して欲しくない。
「……どうしよう」
私は家に帰って来て早々、着替えもせずにベットの上に横たわり頭を抱えた。
まずい、まずすぎる……。
平常心で千崎くんの恋の手助けなんて出来るわけない。
なんで私、承諾なんてしたんだろう。
いやいや、だってまさか、相手が紗良だなんて思わないじゃん。
やっぱり、断る?断るべきだよね?
この"好き"という気持ちを押し殺し、恋が実るまで隠し通すなんて私にはできない。
ただでさえ、思っていることがすぐに表情に出てしまうほどわかりやすいと言われているのに……!
「あああああっ──!人生最大のピンチだぁ!
なんで恋のキューピットなんかやってたのよバカ!歳をとる度バカレベルが加速するのなんでよ!最悪だ!」
ベットの上で自分の今までの行いを懺悔していると、1階にいる母に「うるさーい!」と叱責される。
「……明日、学校休もうかな」
生気を失った目で、そう独り言をぼやいた。