どんな恋でも繋いでみせます!
「───凛に」



これ以上にないくらい、ドクン、と心臓が跳ねた。



「千崎、それは凛だよ、私じゃない」



漏れる息が小刻みに揺れる。

腰から力が抜けて、思わずその場で尻もちをつきそうになった。


俺は、勘違いしてた。
ずっと、あれは柏木なのだと思っていた。

俺は最初から無駄なことをしていたんだ。

填本の声を覚えていれば、最初から間違えずに填本に恋してたんだ。

バカみたいに、遠回りをしていた。


その時、試合終了のブザーが鳴る。



「行って」

「え」

「早く、凛のところに。
私の話はもう要らないから」



倫太郎と同様、また背中を押される。

すぐに体育館へ向かおうとする足を止め、振り返る。


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