どんな恋でも繋いでみせます!
「だけど、それだけじゃなかった。
俺は、填本にも興味があった。填本と話してる奴らってみんな笑ってて楽しそうで、俺も話してみたいって思ってた。だから、仲良くなれて嬉しかった。ずっと、この時間が続いてくれればいいのにって願ってた」



千崎くんが私に対して抱いていた気持ちを初めて聞く。



「ずっと自分の気持ちがわからなかったのは、徐々に俺の中で填本の存在が大きくなっていたから。
柏木が気になってたはずなのに、いつも頭に浮かぶのは填本ばっかりで、どっちが好きなのかわからなかった。でも、恋のキューピットをやめたいって言われた時、はっきり気づいた」



そこで、言葉が止まる。
だけど、千崎くんの呼吸が繋いでいた。



「これが、恋だって」



いつだって堪えてきた涙がやっと邪魔されずに頬を伝う。重力に逆らえず、真っ直ぐに。

空に描くひこうき雲のように、頬に涙の跡を残しながら。


< 272 / 328 >

この作品をシェア

pagetop