どんな恋でも繋いでみせます!
この動画を撮っているのだろう、世莉の『はい、チーズ』という声が聞こえてくる。

その後、『あ、ごめん、動画だった』と訂正が入り、各々ポーズをキメていたクラスメイトが一斉にツッコミを入れる。

その仲良い光景に笑みをこぼすと、突然世莉が画角を内カメに変え、世莉の顔がドアップで映る。



『凛〜!見てる〜?私たちのクラス優勝したよ!』



突然世莉が私の名前を呼びながら、サラっと優勝したことを伝えてくる。

思わず「えっ!」と声を上げると、お母さんが「なにー?」とルームミラー越しから私の顔を覗いてくる。

そんな私の驚きなんてお構い無しに、世莉はブンブンと手を振っている。そのせいで、動画がぶれている。


『その動画凛に送ろうよ!』『凛ー!見てるか!』『ちょっと世莉こっちにカメラ向けてよ!』と、動画越しからクラスメイトの声も聞こえてくる。

世莉は『みんな映りたがりだな』とぼやいて、また外カメに戻す。



『凛が頑張ってくれたから優勝したよ!』

『私たちは準決勝で負けちゃったけど、男子バスケと女子バレーが優勝したおかげで、総合点ぶっちぎりの1位でクラス優勝できたの!』



同じバスケチームだったクラスメイトが意味もなくダブルピースしながら教えてくれる。


< 288 / 328 >

この作品をシェア

pagetop