どんな恋でも繋いでみせます!
私は下駄箱で上靴に履き替えてから、クラスメイトで行き先も同じなので倫太郎くんと一緒に教室に向かう。
廊下を歩く間、倫太郎くんは他愛のない話をして私を元気づけようとしてくれる。
倫太郎くんは優しいなぁ。
だからみんな倫太郎くんの周りに集まるんだ。
倫太郎くんのおかげで傷ついた心に回復の兆しが見え始めた。
……と、思った時に現れるのが、彼だ。
「おっ、ハロ〜、瑠衣!」
ちょうど教室の扉を開けようとした千崎くんとバッタリ鉢合わせる。
倫太郎くんが先に気づいて千崎くんに声を掛けると、千崎くんは倫太郎くんを見て、すぐに隣にいる私に目を向けた。
千崎くんの瞳に私が映っている。
気を引き締め背筋を伸ばし、姿勢を正した。
千崎くんに私の気持ちがバレないように、ついポロッとぼろが出ないように、硬直する身体と一緒に口をきつく閉める。
「よう、倫太郎。填本も、おはよ」
「おはよう、千崎くん」
ニコリと微笑まれ、朝から絶世の光を浴びる。
太陽よりも千崎くんが放っている後光のほうが、植物の葉緑体は頑張って働くのではないか。
なんて、冗談を言う元気はまだあるのだから困る。
心の中で冗談なんか言って、1人であははと乾いた笑みを零している間に、倫太郎くんは教室の扉をガラガラと開けて大きな挨拶をしている。