どんな恋でも繋いでみせます!
歩きながら話したらいい。

紗良は言葉にはしないけど、ゆっくりとした歩調といつもよりも小さい歩幅だけで伝えてくる。



「紗良、ごめんね」

「……何が?」

「私、紗良にずっと隠してたことがある」



まず何から伝えたらいいのだろうか。

言い始めたのに、言葉が詰まってしまう。


すると、先を歩いていた紗良が足を止め振り返る。

問い詰めるとか、無理やり聞き出すとかじゃなく、言葉が整うまでいつまでも待ってくれるような優しい目を紗良は向けてくる。

その優しい目に惹き込まれるみたいに、吐く息と一緒にふと洩れた。



「私、千崎くんが好きなの」



初めから順を追って話すべきなのに、飛び出すように出た言葉こそが1番紗良に言いたかったことだった。


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