どんな恋でも繋いでみせます!

「あの、ね……」



言え、言うんだ、填本凛。
これ以上傷つきたくないなら。
 

だけど、どうしても躊躇ってしまう。
だってあまりにも千崎くんが柔らかい表情を私に見せてくれるから。

もしかしたら自分の願いが叶うかも、と淡い期待を抱いた千崎くんの感情が、私にも真っ直ぐな瞳から流れ込んでくる。



「千崎くんは、紗良のことが、好きってことなんだよね?」



どうしても千崎くんの純粋で真っ直ぐな瞳を見ていると断れずに、違う質問にすり替えてしまう。 

この質問の答えを聞いてからでも断れる。
まだ、大丈夫。



「好きってとこまではいかないけど、ずっと気になってはいる」



"ずっと"気になってはいる、と言った。
ずっと、とはどれくらいの期間なんだろう。

気になっている人と好きな人では、少し好きの重みは違うけど、ニュアンス的には一緒だ。


そもそも私に仲を取り持って欲しいと頼んでくる時点で、もうそれは紗良のことが好きってことなんだよ、千崎くん。

おそらく千崎くんは、恋とかに疎いタイプ。 
初恋もしたことがない、とか言うタイプ。

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