どんな恋でも繋いでみせます!
「あげる」

「……いや、なんでだよ」

「あげたいと思ってたから」



千崎くんが首を傾げる。



「1年のクラスマッチの時、私のクラスが優勝したの。
千崎くんにこれあげたくて、めちゃくちゃ本気でバスケ頑張ったのに、渡せなかった。
保健室の前で散々迷った挙句、自信が出なくて渡せなかった。だから、今年こそ優勝して渡そうと思ってた」



思い返せば、1年のクラスマッチの時が1番自分の感情に素直に行動していたと思う。

でも、結局は渡せなかったのだから一緒かな。

あの時、渡していれば、千崎くんは紗良だと勘違いせずに済んだのかも。


千崎くんはゆっくりとその購買券を手にして、ただの紙切れなのにじっくりと眺める。

すると、千崎くんもカバンを漁り出し、同じように購買券を私に差し出す。



「自分の返したら意味ないじゃん」

「だって、恋のキューピットを成功させたら報酬で購買券渡すんだろ?」

「……世莉、から聞いた?」

「うん、だからこれは填本に。俺の恋は実ったから」

「3千円分は多いよ」

「特別ボーナス」

「なにそれ」



私は笑いながら千崎くんの手から確かに受け取る。

同じ券がただ移動しただけなのに、妙にキラキラして見えた。魔法のフィルターがかかってるのかも。


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