どんな恋でも繋いでみせます!

千崎くんに家まで送ってもらったあと、まだ千崎くんの温もりと感触が残っている手のひらを眺めながら、自分の部屋で顔がだらしなく溶ける。

部屋にカバンを置き、制服を脱ごうとした時、ふと思い出す。


引き出しの1番奥にしまったはずの、あのノートの存在を。


私は引き出しに手をかけ、そのノートを手にした。



【恋のキューピット専用ノート】



暫く開いていなかったノート。

なぜか今開かなければいかないと思って、手を伸ばして開いた。



「……え」



最後のページを見て、思わず声が洩れる。


遊園地のあと、私が強い筆圧で殴るように書いた一文。


【千崎くんが好き、は捨てる。】



確かに、その文を書いて私はノートを閉じた。

なのに、【捨てる】の文字の上からバッテンが引かれ、その下に【捨てさせない】と書かれていた。


見覚えのある字だった。


< 325 / 328 >

この作品をシェア

pagetop